2016年11月20日日曜日

ブラームスのクラリネット三重奏曲の公開講座を聴講する

本日はフェイスブックのお友達が奏者で出演するブラームスのクラリネット三重奏曲を用いた音楽講座を聴講しました。

〇新音楽講座 ブラームス・クラリネットトリオ
日時:11月20日(日)14:30~
場所:KMアートホール(幡ヶ谷)
演奏者:山中麻衣子(cl)・友正逹美 (vc)・田北裕子(pf)
講師:重松正大先生

ブラームスのクラリネット三重奏曲をピアノがご専門の先生が指導するレクチャーです。
なかなか目から鱗なことが多々・・・
小さな音を強く響かせる弾き方とか、ウナコルダの効果的な使用方法とか・・・

本日の講座で感じたことというのは、本日の指導とは直接関係しないかもしれないけれど、この三重奏曲は極めてパーソナルな作品で、ピアノはブラームス本人が弾くことが前提となっていたのではないかと思われたこと。
老いてから巡り合った素敵なクラリネット吹きさん(ミュールフェルトのことです)のために。
君の音色の甘いも辛いも私のピアノで素敵に引き立ててみせる。
重松正大先生はレクチャーの冒頭で老いるということは感性が鈍るのではなくてむしろ心の襞がより深くなることで、ブラームスは老いていくうちにその襞にいろいろ溜まってきて発火寸前になっていた時に若いクラリネット吹きさんに巡り合って一気に爆発した、と述べていました。
じゅ。が思うに老いても感性は発火寸前で衰えることはないが、孤独ではあると思います。
クララ・シューマンに片思いしていても孤独が癒されることはなかったが、ミュールフェルトには癒された。その音色で。感性で。
本日のレクチャーで先生がピアニストに語ったことは、クラリネットの音色をピアノが護るということ。。
その老いての心のありようの可否はともかく、ありえないような芸術作品がこの世に遺されたことをじゅ。は悔やむまい。。。
そういえば、今日午前中に練習したブラームスの交響曲第1番は、新響のチェリストで大河ドラマのテーマ音楽の作曲家でもある坂田晃一氏がプログラムで納得してないと述べていたようにクララ・シューマンへのラヴ・レターに添えた楽句(第4楽章のホルンの山の呼び声です)などクララへの愛がちりばめられていたにもかかわらずクララには不評で、考えてみれば交響曲とはそのようなパーソナルなものではなくパブリックなものであるべきというクララの信念があったのかもしれない。(第2番以降は曲調が穏やかになりますが曲調とは裏腹にパブリック性は増すと思う。)
そう思うと、ブラームスとは真にパーソナルな音楽の作り手に相応しい作曲家なのであって、その真髄はミュールフェルトを得た晩年の諸作品にこそ発揮されていると思われるのです。

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