2015年9月12日土曜日

三善晃/交響詩「連祷富士」、他 山田和樹/日本フィル

本日は下記の演奏会へ。

○日本フィル杉並公会堂シリーズ2015 第3回
開演:2015年 9月 12日(土)午後3時
会場:杉並公会堂
曲目:
三善晃/交響詩「連祷富士」
ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」
ピアノ:ベンヤミン・ヌス
指揮:山田和樹

このところ立て続けに新ヤマカズこと山田和樹の指揮を聴いている。
良い指揮者なので仕方がない。

三善晃/交響詩「連祷富士」
1988年にテレビ静岡開局20周年を記念して委嘱された作品でおそらく静岡市民文化会館で初演。
じゅ。はそのころ静岡県に勤務していたので初演を聴いています。
もう27年も経ったのでだいぶ忘れているかと思いましたが主要なところは覚えていました。
まさにあの時の感動醒めやらぬ演奏!
ご存じの通り和風なところとか富士山の描写的なところは皆無で、プレトークの新ヤマカズ曰く山の激しさ、厳しさを描く(場合によっては山岳の峻厳さの心象風景を描く)音楽ですが、今日の演奏は新ヤマカズらしく生命力に溢れてどちらかというと夏の富士山の印象。
和風と言えば主要部に入ったところで音響がちょっと和風になりますが(旋律は全くの無調寄り)、その後はどちらかというとバルトークの中国の不思議な役人風になって、三善にとって富士山=バルトーク(の峻厳さ)といった印象があったかもしれない。
まあ夏山といっても峻厳さは同じなのであって油断は出来ない。本日の演奏も凄まじい破壊力と度肝を抜く音響にも拘わらず、新ヤマカズの熱い血が地下水脈のように感じられた。
録画していたようなのでぜひ放送するかDVD化するかして欲しい。
そういえば、三善晃としてはめずらしく?風音器が使われていた。まあこれも風の描写ではなく厳しい山を前にしての心を吹きすさぶ風のような印象でしたが。

ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
プレトークの新ヤマカズ曰く新ヤマカズの一押しのピアニスト。ドイツ人。父がジャズミュージシャンでジャズの血あり。
ですごいジャジーな演奏かと思いきや、たしかに通常版のラプソディ・イン・ブルーよりもピアノの句が多い気がしますがむしろ意外にもクラシックの小協奏曲を聴いているような雰囲気。
新しい楽句もジャジーというよりはクラシカルで、ただ小洒落た感じ。
ただ血がたぎるについては新ヤマカズ以上なのか、途中から立ち上がってピアノを弾いていた。
奏者アンコールはこの彼ヌス氏自作のSheという曲。これが非常にクラシカル(ただし印象派的)な佳曲。
新ヤマカズは先日の尾上右近といい25歳くらいの若者が好きみたい。。

グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」
プレトークの新ヤマカズ曰く連祷富士とは正反対の曲。たしかに心象風景と描写音楽では絶対音楽と標題音楽くらいの差はある。
聴くたびに思うけど、この曲はR.シュトラウスの影響を非常に受けている。アルペンシンフォニーの焼き直しというだけでなく楽器選択、楽器用法、すべて。。
だから駄目とかきらいとか言うのじゃなく、描写音楽としては非常に優れていて、今日のような名演中の名演で聴くとグランド・キャニオンとはいかないまでもそれほど峻厳でない山道をのんびりてくてく歩いているような気持ちになってくる。
風音器も当然出てきて完全に描写に使われる。三善の時との使い分けがすごい(奏者も別)。
オケアンコールは同じグローフェのミシシッピ組曲のマルディ・グラ。
「アメリカ横断ウルトラクイズ」に使われてた音楽。
まあ、無い物ねだりですが、曲順完全逆(「グランド・キャニオン」→ラプソディ・イン・ブルー→「連祷富士」)で演奏して欲しかった。
オケアンコールに困っちゃうけどね。

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