2015年9月28日月曜日

沈黙

なんか今BSで松村禎三のオペラ「沈黙」をやっているので、沈黙を観た感想を上げてみます。

○新国立劇場2014/2015シーズン オペラ「沈黙」/松村禎三
開演:2015年6月29日(月)14:00 
会場:新国立劇場オペラパレス
演目:松村禎三作曲/オペラ「沈黙」全2幕〈日本語上演/字幕付〉
主要キャスト:
【ロドリゴ】小餅谷哲男
【フェレイラ】黒田 博
【ヴァリニャーノ】成田博之
【キチジロー】星野 淳
【モキチ】吉田浩之
【オハル】高橋薫子
演出:宮田慶子
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也

新国オペラハウス(大劇場)では初の公演という。

巨大な編成で巧妙な管弦楽法を駆使し、おそらく日本人作曲家の西洋音楽技法を駆使して到達したオペラの最高傑作ではないだろうか。
緊迫する動悸をチェンバロと打楽器で、海を弦楽器で、怒りを金管楽器で、神の存在の暗示を人間の合唱で行っている。
歌も日本語のため抑揚のついたアリアは少なくて半分シュプレッヒシュティンメのようであるが詠唱のような歌詞の伴奏の管弦楽法が精緻この上ない。

など色々注目すべき点はあるが、それらを全て忘我させるほどにひたすら泣ける作品であった。
特に数少ない抑揚のついたアリアの中でもオハルのアリアは演奏も相まって絶唱で、第4場の幸福と第8場の絶望の差異は胸を引きちぎられるばかりである。そこで歌われるオハルの恋人のモキチの優しい詠唱が涙の滝となる。
思うにここに描かれる邪と正、弱い心と強い心、罪と救済など全ての背反するが表裏一体をなすものが個人の内面の暗と明に転写されて心に響くからであろう。

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