2015年9月23日水曜日

映画音楽作曲家の純音楽

今日(9/22)は下記の演奏会へ。

○オーケストラ《エクセルシス》【第6回演奏会】"アカデミー作曲賞受賞者の純音楽"
開演:2015年 9月22日(火・祝)14時
会場:杉並公会堂大ホール
曲目:
ロージャ・ミクローシュ/ヴィオラ協奏曲 Op. 37 ※日本初演
マルコム・アーノルド/イングランド舞曲集 第1集, 第2集 Op. 27, 33
ニーノ・ロータ/交響曲第3番 ハ長調
ヴィオラ独奏:加藤由貴夫
管弦楽:オーケストラ《エクセルシス》
指揮:大浦智弘

表題の通り、アカデミー作曲賞受賞者が書いた純音楽を演奏する企画。
自分はクラシック好きになる前は映画音楽が好きで、ニーノ・ロータが好きだったのでこれを聴かないわけにはいくまい。(45年くらい前?)

ロージャ・ミクローシュ/ヴィオラ協奏曲
ロージャ・ミクローシュは「ベン・ハー」の作曲者。
同郷のバルトークとは直接の接点はないようなのですが、曲の冒頭からバルトーク節炸裂!に等しい出だし。
要するに、これがハンガリアン魂というものか・・・
曲は日本初演とのことでもちろん初めて聴きますが、ヴィオラ独奏付きの交響曲に匹敵するような堂々としたもの。近代音楽の成果をふんだんに取り入れた劇的なものですが映画音楽とは全く違う造りになっている。具体的な表象は全くない。感情の動きのままに作られた感じ。
独奏の加藤由貴夫氏は元新日本フィルヴィオラ奏者とのことでまさに独奏付き交響曲のヴィオラ弾きにうってつけ。初めて聴いたのでソリスティックに感情と絡めてどう変化するかを予見させるまでには至らなかったが、楽曲のレファレンスとしては最適と言えようか。

マルコム・アーノルド/イングランド舞曲集 第1集, 第2集
マルコム・アーノルドは「戦場にかける橋」の作曲者。
これも初めて聴きますが、なかなかの佳品。
ノリとしてはバックス、アイアランドから安部幸明、小倉朗といった心象。
舞曲集だがちょっとしたシンフォニエッタという感じ
楽器の用法もお洒落というかコケティッシュ。
小物打楽器が巧妙に使われている。
演奏者のノリもかなり良い。

ニーノ・ロータ/交響曲第3番
ニーノ・ロータはご存じ「ゴッドファーザー」の作曲者。(映画音楽史的にはフェリーニの「道」の作曲者としてのほうが重要かもしれない。)
さすがに初めて聴く曲ではありませんが(生では初めてですが)、3曲の交響曲では一番地味な曲。(前回演奏会のマニャールも一番地味な第4番だった)
ですが演奏はシンプルかつ彫塑された響き、特に木管楽器が良い響き。
クラリネットは難しすぎそうで吹きたくない感じ・・・
特にロータの記念年というわけではないと思うが10/3にはゴッドファーザーの生演奏付き上映がされるというし、第1番第2番の交響曲とかオラトリオとかぜひ聴いてみたい。

アンコールはお約束というかロージャの「ベン・ハー」。

映画音楽作曲家は(特に日本では?)クラシック音楽界では低く見られる傾向にある(伊福部昭以来)。しかし、映画が20世紀のオペラといっても過言でない以上映画の劇伴音楽は歌劇作品と同様の評価を受けて然るべきである。
想像するにマーラーの「ゼッキンゲンの喇叭手」の活人画の付随音楽などはアニソンと一緒である。
逆に上述の理由で映画音楽作曲家の純音楽を純音楽専門の作曲家の純音楽より低く見るなどということはありえない。それはロッシーニやプッチーニの純音楽を低く見るようなものだ。

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