2015年9月19日土曜日

今日のデリック・イノウエのブリテン

それで今日予定通り下記の演奏会へ。

○新日本フィル#49 新・クラシックへの扉 金曜/土曜の名曲コンサート
 開演:9月19日(土)17:00
 会場:すみだトリフォニーホール
 曲目:
 シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調 op.47 *
 バーバー/弦楽のためのアダージョ op.11
 ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム op.20
 ヴァイオリン:堀米 ゆず子 *
 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮:デリック・イノウエ

先日の青ひげ公でその腕を確信したデリック・イノウエの棒によるブリテンです。

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲
 今年が記念年なため聴く機会が増えているシベ・コンです。本日は改訂版(最終稿)による演奏。
 堀米さんの演奏を聴くのも久しぶり。
 出だしの管弦楽のヴァイオリン、クラリネット、そして堀米さんのソロがまさに岩に染み入る秋の虫の声という感じで最初から冷んやり感全開。力強いところも骨太さを見せつつも熟慮の結果、という感じで造形されていく。
 大人の味わい。
 アンコールはバッハの無伴奏ソナタ。

バーバー/弦楽のためのアダージョ
 今日は休憩時間にお酒を飲んだせいか心理的に不安定なせいか冒頭聴いていきなり涙ちょちょ切れ。細かい弦の綾が一つ一つ琴線に触れた感じでした。
 原曲の弦楽四重奏で聴いたらさらに想いがこみ上げるだろう。

ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム
 日本政府の依嘱により、皇紀2600年奉祝曲として作曲された曲。
 いろいろな説があるが締め切りギリギリ(実は過ぎていた)のため写譜が間に合わなかったなどの理由もあって奉祝演奏会では演奏されなかった。委嘱料はこれまた日本側の勘違い?により一桁多く受領している。(by wiki)
 本日の演奏は撥音打楽器が打ち鳴らされる重い冒頭、テイストはショスタコを思わせるが真髄はマーラー的である第2楽章、引き続いて沈痛な鎮魂歌となるが、通して一貫する強い繋がりを感じさせる演奏。ちょうど今朝成立した安保法制の歴史的位置を回顧するような流れで聴くことが出来た。
 曲がそうなのかもしれないが今日の演奏、就中デリック・イノウエの棒は手堅く遺漏が一切無い緊縮・禁欲的でありながら、人それぞれの様々な想いを心へ呼び起こすような音楽で素晴らしい。
 イノウエの指揮は打点はそれほど高くなく地を這うようなところもあるが、動きが激しく精力的で全身を使って指揮するため奏者は彼の身体の動き全体を見て演奏するのだろう。

アンコールはRVWのグリーンスリーヴスによる幻想曲。生で聴くのは初めて。だけど指揮はしたことがある。高校生のとき。

この指揮ならばディーリアスの歌劇「村のロメオとジュリエット」の日本初演の棒をデリック・イノウエに任せてもよい。

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